オブラ・ディン号の帰還の感想
目次
ゲーム紹介
概要は他所
ネタバレ感想
Return of the Obra Dinn
ゲーム紹介
1807年、約4年前に消息不明となっていた商船「オブラ・ディン号」が突如帰還した。しかし、その船の中に生きた船員の姿はなかった。保険調査官である主人公は損害査定書を作る為に、船へと乗り込み事件の真実を解き明かす。
1ビット3Dグラフィックで構成された正体当てゲームだ。大分前から気になってはいたが一人称視点なのを知って尻込みしていた。私は三秒で酔える自他共に認める三半規管ザコだからだ。
結論から言うと酔った。ひたすら人が死ぬさまを見聞きしていて気分が悪くなったのもあるだろう。
ただ終盤メモを取りながらプレイした際には問題なかったので、適度にゲーム画面から目を離せば大丈夫かもしれない。
ゲームで遊ぶ時は適度な休憩が必要。多くの僕達が無視を続けている真理である。
もっと重要な結論から言うと面白かった。
概要は他所
未プレイの人向けに概要を説明しようと文章こねくり回してたけど、どこまで書けばいいか分からなくなったので詳しく知りたい人は他の人が書いた紹介を見てください。
プレイ前に知っておいた方がよさそうな情報があれとかそれとかあるんだよなって思ったんだけど、そこまでを説明するのが面倒になったので。
でもまあこれだけは書いておこうかなと思ったので書いておくと、堂々と怪物が出てくるタイプのミステリです。
そのため怪物によって殺される、といった死因も存在します。本当に死因:怪物です。
それが保険会社に提出されます。それでいいんだ……。
あと外見で雑にハゲと呼んでるとハゲが多すぎて混同するので外見的特徴であだ名を付ける時はハゲ以外の方がいい。
でけえハゲとか髪があるハゲとか呼び始める。
というわけで以下はネタバレを含む感想になります。
ちなみに、いわゆるトゥルーエンディングを見終えた所でプレイ時間は約13時間でした。
ネタバレ感想
あなたの最後の一人(実質消去法)は誰だった?
僕はハマドウ・ディオム。
もっとも死因を含めたらジョージ・シャーリーだけど。
お前どこで死んでんの!? だったので前シーンと合わせると先にクラーケンに拉致されて圧死か……? と考えたんだけど違ったなー!
クリアしたのでwikiを見てるけど結構解答幅あったのに間違えてんかい。
これなら圧死でもよくないか? だめか。そうか。
もっと見ていけば分かるやろ……と思いながら進めていったのに、見られる全ての残留思念を見終えても名前とか殆ど出てこなかったし心当たりもなさすぎて「これ以上どうやって詰めればいいんだ!?」と何度も困惑した。ここから詰められる要素があるんですか!?
あるんです。
海に消ゆ三連星
基本的に私はノーヒントの手探りプレイをしたので、どんなふうに残留思念世界を歩けばいいのかを最初は分かっていなかったのだけど、このプレイ感覚が掴めてくる度にどんどん解像度が上がっていったのが面白かった。
白黒の粒子的なドット3Dグラフィックで、確かに解像度は荒くて見づらいんだけど、それでも見えないのではなく見ていなかっただけなのだと気付いていく。
あとまあ地図で確認するという発想がなくて終盤も終盤になって初めて部屋名が書いてあることに気付いたりもしたんだけど。
終盤はいよいよメモを取ってた。
名前を覚えられなすぎて手記の持ち主が船医だと気付いたのは特定済が半分を超えて、そろそろエンディングも変わってそうだと見に行ってエンドロールが流れてる最中だった。
モロッコだけは確認したけど名前はあまり意識してなくて、でも手紙に医師とか書いてあったし見覚えある名前だったな……?
船医……おまいだったのか……。
もっと親の顔より船医の名前を見ろ。
ラウ・ホクセンは名前こそ早々に分かるけど死因に処刑がないので、じゃあ消去法で射殺だろうけど誰が殺したって許可を出した船長でも号令を出した掌砲長でも甲板員(広義)でもないし……と悩んだ。
銃弾をよく観察したら大半は射線が外れてて、もしかしてと辿ってみて、ゴ、ゴルゴ……と一人に突き当たって、それが正解だったわけだが。
初見から名前確定後も最後までゴルゴって呼んでた
ここで悩まされたことが伏線になって、ズンギ・サーティの死因の時にトゲじゃないなら射線上のハゲつまりチャールズ・マイナーかあって比較的すぐ思考が動いたんだな。
よくできてるわ。
マーティン・ペロットはアビゲイルへの対応を始めとして付き司厨手と並んで歩く様子や潰された時の反応にすごく良い人の気配を感じて、この人どうなったんだ……と思ってたけど本当に最後まで良心だった。
ロデリック・アンダーセンと歩く場面で両手に料理を抱えた彼を見守る様子めちゃくちゃ良くない?
このマーティンからのロデリックは比較的序盤から確定しやすいこともあって余計に愛着が湧くんだ。
四等航海士付き司厨手のデービー・ジェームズのことはスケッチで他の司厨手とは違う位置にいたことと脱出でボート組だったことが大きくて、四等航海士を確定させるまで謎の乗客って呼んでた。
そして乗客にしては登場するシーンが妙だなって思って怪しんでた。
よく見たら服装は普通に司厨手なので、よく一緒にいたのが四等航海士だと分かれば難しくなかったんだな。
なんなら性別さえ間違えて四等航海士の愛人かと思いかけてたけど。
そうはならないだろと思うかもしれないが俺はそうなった。お前もいずれこうなる。
怯えて震えろ。
分かってから見ると臆病で可愛い人だな……。
なんとなく外見で国籍を特定する行為に躊躇いがあって、それでもマバはさすがに外見国籍で特定したんだけど。
そもそもニューギニアという国を全く知らなかったので「ニューギニア+刺青」で検索をかけたわけ。
大分上位でwikiのマバのページが出てきた。
ネタバレを見たくないならインターネットは見るな。インターネットと育ってきた人間にあまり無茶を言わないでくれ。
思ってた以上にヒントは小さくて、でも確かに存在してる。
たぶんプレイヤーによって答えを導き出すまでのルートも違うのだろうな、と感じる。まさか靴で人物を特定することになるとは思わなかった。
そのぶん、ちゃんと推理している気分になれる。だから面白かった。
ところでゴルゴに見敵必殺の冷徹殺人マシーンな印象があったので、トゥルーエンドの際に査定の「殺害(1)」を五度見くらいした。